離婚するか。
転職するか。
東京を離れて、地方へ移住するか。
人生の大きな選択を前にすると、私は考えれば考えるほど、何が正解なのか分からなくなります。
頭の中だけで考えていると、
「失敗したらどうしよう」
「今のまま我慢した方がいいのかな」
「そもそも、私は何がしたいんだろう」
と、不安ばかりが大きくなってしまいます。
そんなとき、私がノートに書き出すのが「シュロスバーグの4S」です。
キャリアコンサルタントの勉強をするなかで出会った、人生の転機を整理するための考え方です。
4Sは、すぐに正解を出してくれるものではありません。
今の自分が置かれている状況と、すでに持っている力を整理し、「ここから何ができるか」を考えるためのものです。
シュロスバーグの4Sとは
人生には、就職、転職、結婚、離婚、出産、引っ越し、退職など、さまざまな転機があります。
自分で選んだ変化もあれば、突然やってくる変化もあります。
同じ出来事を経験しても、受け止め方や乗り越え方は人によって違います。
シュロスバーグの転機理論では、変化に向き合うために利用できる力を、次の4つの視点から整理します。
- Situation(状況)
- Self(自分)
- Support(支援)
- Strategies(戦略)
私は悩み始めると、選択肢を増やしすぎて動けなくなることがあります。
そんなとき、この4つに分けて紙に書くと、頭の中で絡まっていたものが少しずつほどけていきます。
Situation|今、何が起きているのか
最初に書くのは、現在の状況です。
ここでは、不安や想像ではなく、できるだけ「事実」を書きます。
例えば、
- 今、何に困っているのか
- いつから悩んでいるのか
- 自分で変えられることは何か
- 自分では変えられないことは何か
- 今すぐ決める必要があるのか
- この変化によって、何が変わるのか
「転職に失敗するかもしれない」は、まだ起きていない想像です。
一方で、「今の勤務形態では、将来も働き続けられる自信がない」は、今の自分が感じている事実です。
事実と不安を分けるだけでも、問題の輪郭が見えやすくなります。
Self|私は何を大切にしたいのか
次は、自分自身について書きます。
強みや経験だけではありません。価値観、苦手なこと、体力、心の状態も含まれます。
- 私が大切にしたいことは何か
- これだけは守りたいものは何か
- 得意なこと、苦手なことは何か
- これまで乗り越えてきたことは何か
- 今の体力や心の余裕はどのくらいあるか
- 本当は、どうなったらうれしいのか
「できるか、できないか」だけで考えると、自分に足りないものばかりが目につきます。
でも、「何を大切にしたいか」まで書いてみると、選択の基準が少しずつ見えてきます。
Support|頼れるものは何か
Supportは、家族や友人だけではありません。
制度、サービス、お金、情報、専門家など、自分を支えてくれるものを幅広く考えます。
- 話を聞いてくれる人はいるか
- 実際に手を貸してくれる人はいるか
- 利用できる制度やサービスはないか
- 経験者から情報を聞けないか
- 専門家に相談できないか
- 今の生活を支えるお金や環境はあるか
私は以前、「自分のことは自分で何とかしなければ」と考えていました。
でも、離婚も、子育ても、地方移住も、すべて一人の力だけで進めたわけではありません。
家族、友人、職場、専門家、行政の制度。
そのときどきで、いろいろな人や仕組みに助けてもらいました。
頼れるものを書き出すことは、甘えることではありません。
自分がすでに持っている力を、正しく数えることだと思っています。
Strategies|今できることは何か
最後は、これから取れる行動を考えます。
ここで大切なのは、一度にすべてを解決しようとしないことです。
- 状況そのものを変えられないか
- 見方や考え方を変えられないか
- 負担を少し減らす方法はないか
- 誰かに相談できないか
- もう少し情報を集められないか
- 今日できる小さな行動は何か
- 今はあえて決めない方がよいのか
「今の会社を辞めるか、我慢して続けるか」と二択で考えると、どちらも怖くなることがあります。
でも、
「まず求人を見てみる」
「働き方の希望を書き出す」
「転職した人に話を聞く」
「キャリア相談を利用する」
と分けると、今すぐ人生を決めなくても、できることが見つかります。
地方移住を考えたときも、4Sで整理した
東京から地方へ移住するか迷っていたときも、私は何度も紙に書き出しました。
当時は、今の生活を変えることへの不安がありました。
仕事は続けられるのか。
子どもは新しい環境になじめるのか。
東京を離れて後悔しないか。
頭の中だけで考えていると、悪い想像はいくらでも浮かんできます。
そこで、4Sに沿って整理しました。
Situation(状況)
仕事を続けながら移住できる可能性がある。
子どもの環境も変わる。
住まいや保育園、移動手段など、確認すべきことがある。
Self(自分)
自然の近くで、もう少し余白のある暮らしがしたい。
子どもとの時間を大切にしたい。
一方で、大きな環境の変化には不安を感じやすい。
Support(支援)
近くに頼れる家族がいる。
仕事を続けられる環境がある。
分からないことは、自治体や周囲の人に聞ける。
Strategies(戦略)
仕事、住まい、保育園、生活費、移動手段を一つずつ確認する。
すべての不安が消えるのを待つのではなく、準備できることから進める。
書き出したからといって、不安がすべてなくなったわけではありません。
それでも、「移住できるか、できないか」という大きな悩みが、確認すること、準備すること、頼れることに分かれていきました。
すると、ただ怖がるだけではなく、自分で選べる感覚が少しずつ戻ってきました。
よりみちワーク|4つの視点で書き出してみる
もし今、仕事や人生のことで迷っているなら、紙やスマートフォンのメモに、次の項目を書いてみてください。
今、迷っていること
何について決められずにいる?
Situation(状況)
実際に起きていることは?
自分で変えられることと、変えられないことは?
Self(自分)
何を大切にしたい?
自分の強み、経験、苦手なことは?
Support(支援)
頼れる人、制度、サービス、情報は?
まだ頼っていないけれど、相談できそうな相手は?
Strategies(戦略)
状況を少し変える方法は?
負担を減らす方法は?
今日できる小さな一歩は?
すべての欄を、きれいに埋めなくても大丈夫です。
書けない部分があれば、そこに今の悩みを解くヒントがあるかもしれません。
例えばSupportが空白なら、「頼れるものを探すこと」が最初の一歩になります。
Strategiesが思いつかなければ、まだ情報が足りないのかもしれません。
紙に書いても答えが出ないときは
4Sを書いたからといって、すぐに答えが出るとは限りません。
私自身、何度も同じことを書き、迷い、立ち止まってきました。
それでも紙に書くことで、
「私がダメだから決められない」
という状態から、
「今はこの情報が足りない」
「ここは一人では変えられない」
「まず、この人に相談してみよう」
と、悩みを具体的に捉えられるようになります。
人生の転機では、無理に正解を出そうとしなくてもよいのだと思います。
今ある力を確認して、自分が納得できる一歩を探していく。
大きな決断も、最初は小さな一歩から始まります。
焦らず、自分で選ぶ一歩を。
よりみちしてもいいのです。
相談サービス
一人で考えていると、同じところをぐるぐるしてしまうことがあります。
「今の仕事を続けるか迷っている」「転職したいけれど、何から考えればよいか分からない」など、仕事やこれからの人生のモヤモヤを整理したい方へ。
よりみちキャリア相談では、国家資格キャリアコンサルタントが、答えを押し付けることなく、あなた自身が納得できる小さな一歩を一緒に探します。


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